この講座では、令和5年3月7日(火)から17日(金)まで4回、ビッグデータ、AIを用いて現場の課題解決に活用したい受講者19名の社会人を対象に、課題を具現化、ビッグデータを分析できる人材を養成することを目的に、本学の教員及び企業等から講師を招き開講されました。
第1回目の3月7日(火)の講座の最初は、香川大学創造工学部の喜田弘司准教授から「課題具現化」をテーマに、職場やビジネス上の課題をAIで解決できる課題(予測、認識等)へ定式化する方法の講義が行われ、ソフトフェアの設計とは異なり、データ指向で設計する必要があることやAIを活用するためには大量のデータが必要なことを学びました。また、チャットGPTの特徴についても説明がありました。
その後、情報技術開発株式会社のソリューション営業部の方より、「AIシステム構築の方法」をテーマに、AIコンサルティング業の立場から課題解決に適したAI技術の選択やソフトウェア、システム導入について、並びにベンダーフリーによる柔軟な対応とワンストップソリューション、価値検証等について説明がありました。
引き続いて、株式会社Matrix Flow及びFindability Sciences株式会社よりノーコードAIシステムの紹介がありました。
第2回目は翌8日(水)にあり、最初は前日に引き続いて創造工学部の喜田准教授から「ビッグデータ、AIによる分析」のテーマの講義がありました。機械学習と深層学習の違い、教師あり学習と教師なし学習の違いなどの説明があり、事例を使いながら、機械学習の本質を習得し、AIの課題として定式化された職場やビジネス上の課題を実際に機械学習で解くイメージを習得しました。
その後、株式会社コヤマ・システムの佐野弘実代表取締役社長から講義があり、「SIを使ったシステム開発の仕方」のテーマで、AIシステムをシステムインテグレータにて外注開発する場合の要件開発の方法、SI企業との上手な付き合い方等の説明がありました。
引き続いて、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社及び株式会社トライエッティングよりノーコードAIシステムの紹介がありました。
第3回目は13日(月)にあり、まず「AIの導入・活用について」をテーマに、株式会社ディジタルグロースアカデミア デジタル人材育成サービスユニット マネジャーの棚橋 誠氏が、AIを導入し活用する方法を具体的にかつ体感的に講義をしました。
AIがもたらす6つの価値(自動化…認知の自動化、デザインの自動化、作業の自動化、補助…最適行動の提案、ニーズの予測、将来予測)について、事例を交えて説明があり、画像認識AIの作成などのハンズオン(実習)も行われました。
また、AI活用で気をつけるべき点(①データがないとできない、②精度が 100%のAIを作ることは難しい)について、AI活用のポイントについて、AIプロジェクトの失敗理由について、事例を交えて説明がなされました。
その後、この講座のコーディネーター役でもある、香川大学地域人材共創センターの長尾敦史特命講師から「Excelによる多変量解析」のテーマの講義が行われました。AIを学ぶ上で欠かせない機械学習と統計学の違いなどを解説しながら、EXCEL等を用いて多変量解析について講義が行われました。
最終回の第4回は17日(金)にあり、まず「画像をビッグデータとして」をテーマに、香川大学創造工学部の林純一郎講師から講義が行われました。
画像は大量の数値の集合であり、監視カメラの定点観測映像に対する特徴抽出等の画像処理により、手っ取り早くAI技術を構築できます。様々な事例を交え、画像処理技術の解説やソフトウェアの紹介等が行われました。フリーソフトによる画像処理の実習も行われました。
休憩をはさんで、引き続き、林純一郎講師から「AIシステム開発、人材育成」をテーマに講義が行われました。ビッグデータの管理、画像処理技術やAIシステムの運営を円滑かつ効果的に推進するには、管理体制や人材育成が必要ですが、そのあたりの重要性について説明が行われ、大学の講義・研究でのAI教育についても紹介がありました。
講座の締めくくりは「受講者意見交換」が行われました。
受講者各人が本講座にて得たこと、気づき、それぞれの課題解決に向けた抱負等について、出席受講者全員から感想を発言していただきました。
・今までAIをやってきたことはないが、分析に活用したい。
・AIの開発に役立てたい。
・既存の技術を検証してからAIに進めたい。
・学生のキャリア支援、就職支援に関して、就職してからの定着にAIを活用できないか。
・コンサルティング業務をしているが、最適な解ができなかった。この講座で学んだことをもとに見直したい。
などの発言がありました。
講義を行った林講師からは、講義の最後に
『【問題】AIは「人工」の知能であるが、「人間」の知能と比較して、現在のAIでは不足している点を考えてみよう。』
が出されて、これに対する発言も併せて「受講者意見交換」で聞かれました。これに関しては、
・AIは全面的には信用できない。
・AIを使用していくと、開発で他と変わったもの、突飛なものができないのではないか。平均化してしまわないか。どのようにAIを使っていくべきか。
・AIは能動的ではない。
などの発言がありました。
全プログラムを終え最後に、林講師から出席受講者ひとりひとりに修了証書が手渡されて閉講となりました。
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